住宅金融とシステム化の進展 ① 住宅融資の隆盛とシステム化


■ 今回のポイント

  • 昭和50年代に入って公庫融資が大量供給されるようになると、申込みから資金実行までの手続進捗を一貫して管理する仕組みが不可欠となってきます。
  • また、融資件数が増えると返済不能になる客様も増えていくので、その管理を行う必要になってきます。
  • ローン事務省人化のためのシステム適用が一通り達成された上で、コンピュータ活用を前提とした新制度・新商品開発が実現されるようになりました。

住宅金融とシステム化の進展 ① 住宅融資の隆盛とシステム化

前回まで、弊社事業のフィールドである住宅金融及びその背景にある住宅事情等について触れてきましたが、今回はわが国で住宅金融が現在のように発展する必要条件となった住宅ローン事務のシステム化について見てみましょう。

現在日本で暮らす人のほとんどは、住宅ローン返済金やクレジット代金はもちろんのこと、光熱費・水道料など公共料金の多くを預金金融機関での口座自動振替を利用して支払っています。今や空気のような存在の口座自動振替ですが、初めて行われたのは昭和36年(1961年)に三和銀行でジェーシービーのクレジットカード決済手段としてだそうです。

昭和30年代後半から昭和40年代は「住宅ローン=公庫融資」の時代ですから、民間金融機関にとっては代理事務なのに、銀行に持参された返済金或いは通帳を毎月窓口で処理するという長期間かつ煩雑な事務処理を行っていました。そこで金融事務への本格的なコンピュータ導入が進む昭和40年代を通じて、まず返済金収受の面からシステム化が浸透していきます。

昭和50年代に入って新規の公庫融資が大量供給されるようになると、申込みから資金実行までの手続進捗を管理する仕組みが不可欠となってきます。公庫融資には「申込み→設計段階審査→融資予約→中間検査→竣工時の検査済証確認→ローン契約締結→抵当権設定→ローン実行」という手続要件があったので、様々な書類・証明書は手管理せざるを得ないものの、上記手続要件を満たして最終的にローン実行まで持ち込むためには進捗を管理するシステムが必要となったのです。

また、公庫融資の扱い件数が増えていけば、当然に返済が滞ったり返済不能になるお客様も発生・蓄積します。しかも代理貸しとはいえ公庫融資では延滞督促を含む債権管理業務全般を民間金融機関が担っていたので、タイムリーな延滞督促を行うために担当者への延滞情報の提供が必要です。そこで、取扱の多い金融機関を中心に公庫融資利用者のマスターファイルを展開して引落(不能)情報などの記録・一覧表提供などにシステムが活用されるようになります。

昭和50年代になると、公庫融資では以下のような融資制度のハイブリッド化が進みます。

  • ・昭和54年~:ステップ償還
     (当初5年間の返済金を軽減し、5年経過後からの返済金に上乗せする仕組み:ゆとり返済ともいう)
  • ・昭和57年~:段階金利制
     (適用金利が当初10年間とその後の期間で異なる仕組み)
  • ・昭和60年~:特別加算
     (一つのローンが適用金利の異なる通常分と特別加算分で構成され、それらを一つの債権として管理
    していく仕組み)

これらはいずれも、ローン事務省人化のためのシステム適用が一通り達成された上で、コンピュータ活用を前提とした新制度・新商品開発の先陣を切るものであったということができるでしょう。

昭和50年代当時は、公庫融資は規格商品でありながらシステム化の主体は各民間金融機関でした。そのため、各金融機関で対応システムを整備しましたが、金融機関ごとに事務の進め方・考え方が異なり、しかも毎年度制度変更があると金融機関自身がシステムメンテナンスをしなければならないという問題を抱えていました。
また融資審査については、民間金融機関のローンは極めて限定的で保証会社による人手に頼った審査事務で事足りていましたし、公庫融資では年収倍率基準をクリアする案件は原則ローン可としていた(右肩上がり経済の継続と、住宅ローン借入に対する高いモラルが背景にあった)ため、本格的なシステム化の必要は、まだありませんでした。

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