住宅ローンのリスク管理は大変! ① 金融業の利益率と住宅ローン獲得競争


■ 今回のポイント

  • バブル崩壊後、金融機関はリテールへの貸出増進と収益の伸びを狙うため、リスクの低い住宅ローン市場を拡大してきました。
  • しかし、多くの金融機関が住宅ローン市場に活路を求めたため、住宅ローン金利の引き下げや、審査条件の緩和を広げるなど貸し手のリスクが高くなる方向への商品性の変更が進みました。
  • 結果として、借り手側にとっての住宅ローンは手頃感が増した一方で、金融機関では従来以上のリスク管理が必要になりました。

① 金融業の利益率と住宅ローン獲得競争

一般の事業会社では、売上高を分母に利益を分子にした売上高利益率は10%以上という会社が数多く存在しますが、金融業では【利息収入―諸経費=利益】なので、融資額(元本)を分母とし利益を分子とした利益率は0%台ないし1%台にとどまります。したがって、【諸経費】に含まれる元本の回収不能額が多額に及ぶと、それこそ【利息収入―諸経費=損失】となり、預金者の資産を毀損して経営危機を招き、ひいては金融システムを動揺させることとなります。

バブル崩壊直後は多くの主要預金金融機関がこの状態に陥ったため、経済の循環器系である金融システムを混乱・崩壊させないために公的資金が注入されました。
当時はまだ預金金融機関の貸出総額における住宅ローンの割合は小さく、代理業務として取り扱った住宅金融公庫融資で正常返済している方への借換推奨と、公庫直接融資廃止で民間に開放された新規住宅ローン市場というブルーオーシャンが開けていたため、デフォルト確率が低い客層を中心に営業すれば残高と収益の伸びを共に達成できる打出の小槌となりました。

    デフォルト確率とは
     貸出先への返済が不能な状態に陥ってしまう確率のこと。

住宅ローン新規貸出比率

その後、国内経済は遅々として上向かず法人需要が回復しないために、「儲かる住宅ローンをもっと推進せよ」、「住宅ローンは儲かっているのだから、競合に対抗して優遇金利をもっと低くせよ」、「もう少し信用リスクを取って属性の低い顧客層にもアプローチできるのではないか」、という具合に獲得競争が過熱していきます。
このこと自体は、エンドユーザー側から見れば住宅及び住宅ローンのアフォーダビリティ(手頃感)が高まるので朗報なのですが、貸し手側にとっては従来以上にリスク管理能力が求められることを意味します。

金融機関の住宅ローン残高が近年20~30%まで高まってくると、金融機関経営へのインパクトも甚大となります。
そんな流れの中で、住宅ローンの世界にもTVドラマ「半沢直樹」でも描かれた金融庁検査が登場します。平成23検査事務年度から、住宅ローンの収益性とリスクの管理を重点検査方針に掲げたのです。確かに預金金融機関は金融庁検査には戦々恐々なので、住宅ローンに関するリスクマネジメントコンサルティングやリスクマネジメントツールベンダーが花盛りとなったわけです。

次回は、住宅ローンにはどのようなリスクが内在するかを見ていきたいと思います。

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