個人信用情報照会の威力 (他借入れやクレジット利用状況の与信判断への活用)

■ 今回のポイント

  • 個人信用情報機関は銀行系のKSC、クレジット系のCIC、貸金業者系のJICCの3機関があります。
  • 延滞はその状態が解消してから5年間、信用事故(破産、債務整理など)は発生してから5年間は登録され続けます。
  • ブラック情報だけでなく、ホワイト情報も住宅ローン可否判断形成の有力な材料を提供しています。

現代の日本では、銀行からの借入れ経験はなくても、分割払いの経験がない成人は極めて稀有な存在ではないでしょうか。そのくらい個人レベルでの信用取引は盛んに行われています。個人の信用取引が隆盛となるために不可欠なインフラとして挙げられるのが個人信用情報機関の存在です。

仮に金融機関の個人向け融資審査が、法人向け融資審査と同様に家計の収支(法人の損益計算書)、資産状況(同貸借対照表)、申込者の行動特性(同経営方針など)を綿密に精査した上で融資可否を判断するものだとすれば、ITによる支援を最大限に実現しても相当なコストになるでしょう。(もっとも、現在トレンドになっているビッグデータ活用により個人の行動データが蓄積・分析・活用されれば、あながち夢のような話でもなさそうですが・・・)

ある個人にローンやクレジットという信用を供与しても良いかどうかの判断に際して有力な判断材料として、過去にその方が借りていた(クレジットで購入していた)取引の状況を把握したいと考えるのは貸し手として当然の欲求です。

個人信用情報機関とは、会員企業が入手した個人の属性情報と各種のローン、クレジットなどの利用残高や返済履歴などを登録・蓄積して、会員企業が新たな取引申込みを受けた際に照会できる仕組みを提供している機関で、大きく業態別に①KSC(全国銀行個人信用情報センター:全国銀行協会加盟機関の信用取引情報が中心)、②CIC(CREDIT INFORMATION CENTER CORP.:クレジットカード取引や信用保証取引情報が中心)、③JICC(日本信用情報機構:貸金業者系の取引情報が中心)の3機関があります。

金融機関が住宅ローンの申込みを受け付けたとき、本人確認や勤務先確認に続いて真っ先に行うのが個人信用情報機関への信用情報照会です。この照会は、各金融機関・保証機関の事務所内に設置した照会端末で照会対象者の氏名、生年月日、電話番号などを打鍵・送信し、照会結果の返信を受けるのが基本型ですが、現在では融資審査システムを有する金融機関の多くで融資審査システムからデータ送信し、照会結果も融資審査システムに取り込まれて自動処理されるようになっています。

個人信用情報照会を利用しようとする金融機関・保証機関は、照会の便宜を受けるために自社が扱う個人情報について登録義務を課されています。

登録の対象となる信用情報は、信用情報機関ごとに必須・任意など多少取扱いが異なる場合がありますが、個人を特定するための情報としては氏名、生年月日、自宅電話番号、本人住所、勤務先名、勤務先住所、勤務先電話番号、契約内容に関する情報としては契約会社名、契約日、金額、携帯、返済回数など、返済状況に関する情報として残高、該当月の支払状況など、延滞・事故に関する情報として長期間(3ヶ月以上)の延滞、信用事故(破産、債務整理など)、代位弁済などの情報です。

クレジット取引情報を扱うCICや貸金業者系のJICCでは、取引の性質上登録情報のリアルタイム性が求められるため、ほぼリアルタイムでの情報更新が行われますが、延滞・事故に関する情報は、延滞であればその状態が解消されてから、信用事故であれば事故が発生してから5年間は登録され続けます。また、加盟機関による照会事実・日時や使用目的などは6か月間登録されることとなっています。

なおかつ、KSC、CIC、JICC相互間では信用事故情報が相互に流通し共有される仕組みとなっています。

このような個人信用情報登録・照会の仕組みは様々な紆余曲折を経ながら徐々に整備され、現在ではありとあらゆる個人向け信用供与ビジネスで利用されており、なかでも住宅ローンでは金融機関・保証機関の独自審査に付す前にクリアすべき必要条件になっています。

では、個人信用情報照会結果がどのような場合にネガティブスイッチが入るのでしょうか。

まず、長期間の延滞情報がある場合や破産、債務整理などの信用事故がある場合にはほぼ間違いなく否決判断となります。もちろん長期の延滞となってもその状態がすでに解消して5年を経過していれば登録抹消されているので判断材料としてはニュートラルと云うことになります。

次に、約定返済が度々遅延(長期延滞でなければ個別会社判断で登録されている)しているような場合、一般の消費者ローンでは否決としないケースもあるようですが、住宅ローンでは長期の返済期間に照らして是とはしがたいところでしょう。因みに、携帯電話(スマートフォン)の分割払い購入は信用情報登録の対象になっていますので、3か月以上料金滞納が発生するとその状態が解消されても5年間は延滞情報として登録され続けることになり、住宅ローン借入に際してはネガティブスイッチが入るわけです。

さらに、上記のようないわゆるブラック情報ではないけれども、最近数か月の間に、CICであればショッピング履歴が、JICC・KSCであれば(消費者)ローン借入履歴・照会履歴が複数でしかも一時期に集中している場合などは、貸し手としては「借り逃げの蓋然性が高い」、「自己資金ありと装うための他借入れ」或いは「経済的困窮のため借入可能な先を探している可能性」とネガティブ判断する場合が大いにあります。

また、照会結果記載のクレジット取引、ローン取引はすべて正常に推移している(いわゆるホワイト情報の状態)けれども、申告されている収入や他借入れ状況等と照合すると「借入れ過多懸念される」場合や「本人申告の他借入総額より照会結果上の借入残が相当に上回っている」場合などはネガティブ判断するケースもあります。

このように、個人信用情報の仕組みや個人信用情報機関相互間の情報共有が進んでくるにつれて、金融機関・保証機関では個人信用情報照会で過去のブラック情報の有無を見るだけでなく、ホワイト情報や照会履歴をも判断材料にした独自の基準を構築して、審査システムに実装するところが増えてきているのです。

 

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